[再生医療]NKT 細胞標的治療(αNKT 療法)
NKT細胞について
NKT 細胞標的治療(αNKT 療法)は、ご自身のNKT細胞(ナチュラルキラーT細胞)の働きを活かしたがん免疫療法の一つです。
NKT細胞は、T細胞、B細胞、NK細胞に続く第4のリンパ球です。「NK細胞」と「T細胞」の特徴を併せ持つ性質があることが名前の由来となっています。 NKT細胞は、強力な免疫反応増強作用をもち、がん細胞を直接的に攻撃する働きと、免疫系を活性化することにより、間接的にも抗腫瘍効果を発揮します。
NKT細胞標的治療(αNKT療法)とは
NKT細胞標的治療では、まず血液から採取した単球を培養し樹状細胞に成長させます。この樹状細胞にαGalCer(α-ガラクトシルセラミド)を取り込ませて体内に戻すと、体内のNKT細胞が活性化します。これにより、 NKT細胞自身が直接がん細胞を認識して攻撃する働きや、NK細胞とキラーT細胞の両方の働きが高まり、がん細胞に直接的、間接的に作用して抗腫瘍効果を発揮することを期待する治療です。
採血
免疫細胞を分離
投与
NKT細胞標的治療の特徴
●NKT細胞の活性は治療後半年から1年間保たれるため、長期間にわたり、がんへの攻撃担当細胞(NK細胞、キラーT細胞)を活性化し、がんの進行や再発・転移の抑制作用がより長期持続することが期待できます。
●NKT細胞標的治療は非小細胞肺癌や頭頸部がんに対する有効性を示した免疫細胞療法として先進医療になった実績のある治療法です。
●患者様ご自身のリンパ球を使用するため、副作用はほとんどありません。体への負担が少ない治療と言えます。
●ほぼ全てのがん治療(手術、抗がん剤、放射線療法、緩和医療など)との併用が可能です。
「樹状細胞ワクチン療法」との併用について
NKT細胞療法と樹状細胞ワクチン療法を併用することで、NKT細胞と樹状細胞のそれぞれの効果が相乗的にはたらき、より強力ながん抑制効果が期待されます。患者様の免疫の状態に合わせて、免疫療法の組み合わせやタイミングをご提案いたします。
治療概要
本治療は自由診療です。
NKT細胞標的治療(αNKT療法)の流れ
1. 原料の採取
αNKT製剤作製に必要な血液細胞を得るために、成分採血(アフェレーシス)または全血採血を行います。
2. αNKT製剤を作製の作製
成分採血または全血採血により採取された単球に対し、αガルセル糖脂質、およびGM-CSF やIL-4 といったサイトカイン等を用いて刺激し、αNKT製剤を作製します(GM-CSF やIL-4 、サイトカイン等は、健常人でも体の中に存在する物質です)。
3.αNKT 製剤をの投与
作製されたαNKT製剤は、 2週間~2ヵ月の間隔を目安として合計11~4回、静脈に投与します。
治療期間、回数
患者様の病態、症状によって変わりますので、診察、検査、をお受けいただき、決定しております。
費用(自由診療)
患者様の病態、症状によって治療内容が変わりますので、治療方針決定後にお伝えしております。ご了承ください。
リスク・副作用
大学研究機関等で行われた研究では、本療法の副作用は軽度であり、発熱や注射部位の発赤以外には殆ど認められないことが報告されています。
有効性について
NKT 細胞標的治療は、日本政府から認められ、2011年から千葉大学において臨床研究が行われています。進行性の再発非小細胞肺がん17例の治療成績は、1クールの治療のみで生存期間の中央値は18ヵ月でありました。その内、NKT 細胞の活性度合を示すIFN-γ(インターフェロンガンマ)というサイトカインの産生量が多かったグループでは31ヵ月という生存期間でありました。そのまま無治療では4.5ヵ月とされる進行性の再発非小細胞肺がんにおいては驚くべき結果でありました。
また、頭頸部がん8例では、7例にIFN γ が上昇した3 症例が部分的だが有意な反応(PR)を示し、4例が安定(SD)したと報告しています。頭頸部の粘膜悪性黒色腫の患者では、粒子線治療とNKT 細胞標的治療の組み合わせで、2年間経過しても90%程度の生存率を保ったという結果もあります。
再生医療は、厚生労働省への届出が受理された施設において、許可を得た医師のみが提供できます。当院は、再生医療法(再生医療等の安全性確保等に関する法律)により、第三種 再生医療等提供計画を提出し、計画番号を取得した医療施設です。